ゆっるゆる備忘録

見られることは百も承知で、自分の書きたいことを書きたいように書きます。公序良俗に反しない範囲内で。

『みんなの物語』は「わたしの物語」だった

昨日『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』を観に行った。ポケモン映画公式サイト「劇場版ポケットモンスター みんなの物語」

私はポケモンファンではない。ポケモンは可愛いと思うけどゲームはポッ拳くらいしかやった事がないしアニメもさっぱり。前作『キミにきめた!』を地上波放送で鑑賞していなければ、そして石塚運昇さんの訃報がなければ私が映画館に足を運ぶことはなかっただろう。

一夜明けた今、観ることができてよかったと心の底から思っている。

 

作中では登場人物それぞれが心にわだかまりを抱えている。その中で私はカガチおじさんに自分を重ねていた。見栄を張るために嘘をつく事が常態化してしまい、引っ込みがつかなくなった挙句にバレて信頼を失う。私も似たようなものだ。その場その場でやり過ごし見失い、立ち直りつつあるが歩むべき道は未だ見えない。

 

カガチは偶然出会ったウソッキーにひどく慕われ、自分の弱さに打ちのめされて逃げようとしたところをそのウソッキーに引き止められる。

カガチとウソッキーが分かり合った場面で私は、私自身が生きている事を許されたと感じた。

ウソッキーは大きく成長したわけではない。カガチも嘘をきっぱりやめた訳ではない。それでも心の声に耳を傾けて前へ進む事が出来たのは、ふたりで支え合ったおかげだろう。作中の言葉を借りるが、まさにポケモンパワーだ。

この世界に生きているのは強くてまっすぐでバイタリティに溢れた陽の者ばかりではない。そんな当たり前のことを伝えてくれるだけで救われる人間がここにいる。

 

翌朝、つまり今朝、夢を見ていた。自分の悩みによって迷惑をかけている(と私は思っている)人と話し合い、本音を聞かせてもらい、許され、解決する夢だった。目が覚めた途端に、私は声を上げて泣いた。顔がくしゃくしゃになる実感があった。昨日この映画を観たことと無関係ではないと思う。

頭では分かっているんだけどそれが出来れば苦労しないよと毎日思っている。ポケモンを観て夢を見たからすぐに行動に移せる自信もない。けれど、自分の本音をこれほど強く再確認できたことは無駄にはならない、いやしようと思っても出来ない強烈な体験だった。背中を押してくれるラッキーは、ウソッキーは、イーブイは、〇〇〇は、ピカチュウは、実在しないけど確かにいる。

 

映画に出てくるのは私やあなたと同じ、普通のお兄さんや普通のお婆さんだ。だから多くの人にこの映画を観てほしいと心から願う。

これは「観た人みんなの物語」なのだから。

 

 

続きへ畳む前に。

冒頭でも触れましたがオーキド博士の声とナレーションを担当なさっていた声優の石塚運昇さんが先日逝去されました。『ジョジョの奇妙な冒険』のジョセフなど、コミカルだったりカッコ良かったりするとんでもなく面白い演技で私たちを楽しませてくれる役者さんだと、素人ながらにそう思っておりました。ご冥福をお祈りします。

 

 

ここからは映画の内容についてちょっと書きます。

ネタバレはしませんが初見の気持ちを大切にしたい方は本編を観た後で再度アクセスして頂けますと嬉しいです。

 

 

 

ミュウツー、ルギア、エンテイセレビィを劇場で観て以来ポケモンからはとんと縁遠い生活を送っていたので、最近のポケモンにはとても疎い私。しかし『キミにきめた!』に引き続き、馴染みのあるポケモンの姿に安堵と懐かしさの両面でほっとした。ワニノコバンギラスなどギリギリ親しみのある世代のポケモンが数多く登場。

(とんと縁遠い生活と言ったけど、ポケモンGOとかバッジとれ~るセンターのポケモン台とかはやってた)

 

フウラシティの市長であるオリバーゼラオラと和解する場面で深々と頭を下げていたのが印象的だった。これは物語の鍵であるゼラオラの呪いと関係しているのだが、素直に非を認める姿勢、しかもポケモン(我々の世界に置き換えれば動物か?)に対してそれを出来るリーダーはやはりかっこいい。

ポケモンと対等に接する姿はサトシに通ずるものがある」という感想をTwitterのフォロワーさんから頂き、なるほどと思った。オリバーはサトシと違ってトレーナーではないが、ポケモンと人間の共生を考えなければならないという点で立場を同じくする者として身についた態度なのだろう。ゼラオラとの因縁がアレでソレなので尚更。

息子ほど年の離れたサトシに対して敬語で接していたのも真面目な市長さんらしい。こういう人が選出される都市だからこそルギア伝説のフウラシティは今日までやってこられたに違いない。

 

ヒスイばあちゃんにとことこついていくポケモン達の可愛さがたまらん~~~。エンディングのイラストでみんなが安心しきった表情を浮かべているのもやばい。やばい。ネイティオすき。

ていうかヒスイの過去エピソードがつらい。けど、誰もが乗り越えなければいけない時が必ず来る。時間はかかったけど、よかったねヒスイばあちゃん。

 

フォロワーさんから「オリバーにはサトシと通ずるものがある」と聞いて私がハッとさせられたのは、ポケモンと絆を結ぶのは少年だけだという固定観念が私の中にあったからかもしれない。サトシやカスミ、あとロケット団だって若者だしね。サカキ様もいるし最近の映画でも壮年トレーナーがいたかもしれないけど、詳しくは知らないから私にとっては驚きだった。老若男女、誰もが同じ世界で生きているんだなあと。

 

キャラクター達が物語を動かすためだけの非合理的な行動をしない点もイライラさせられず良かった。全部本物。もちろん台詞回しは小さなおともだちにも分かるようにストレートにデフォルメされた言葉ではあったけどね。

 

登場人物達の行動が影響しあって最後に道が交わる展開はアツい。やっぱり群像劇が好きだなあ。オクトパストラベラーかな?(未プレイだけど)

 

 

ほんとにいい映画だった。涙もろい私は6回くらい泣いてしまった。上映直前のピカブイCMでタケシ・カスミ・ロケット団がいた時とか、ルギアを模した風車が映った瞬間とか、エンディングイラストのマリルムチュールネイティオの表情を見た時とか。

 

劇場にいた子が大人になったら改めてこの映画を観てほしい。大人になったら、というよりも行き詰まる経験をしてから、かな。勧めたがり屋のエゴかもしれないけどね。